ゆめ まぼろし 錯綜

 

 

20代半ばの時、彼と付き合っていた1年はなんだったんだろう。

 

いわゆるアプリの出会い。

スカイツリーではじめまして。

水族館をふたりで見て回って、

スカイツリータウンでウインドウショッピング。

 

不意に手を繋がられた。

動揺を隠したわたしは平気なフリして手を繋いでいた。

そわそわした彼から何かを感じていた。

 

エスカレーターに乗ったとき、頭をぽんぽんされた。

恐怖でぞわっとしたが、わたしのトラウマのせいだと心の中で落ち着けた。

 

話は楽しかった。

彼の挙動はおかしかった。

 

後日電話で、わたしは何かを確かめるために付き合ってみる?って言った。

 

付き合うことになった。

 

つぎ会った時に、付き合うってことでよろしいですか、後悔しないですかって確認した。

 

会話の内容なんてほとんど覚えていない。

わたしは好きなバンドの解散で頭がいっぱいだったから。

 

でも、付き合うことにはなったのだ。